顔や目の奥の痛みにも幾つか種類があります
三叉神経痛など、顔や目の奥の痛みにも幾つか種類があります。
人によっては、激しい痛みで日常生活に支障をきたす場合もあります。
幾つかの種類を解説します。
顔や目の奥の痛みの分類
持続性特発性顔面痛
以前は非定型顔面痛と呼ばれていた病気です。50歳過ぎで、女性に多く発症します。神経学的脱落症状を伴いませんが、3ヶ月以上、1日2時間以上続いて、毎日繰り返す、顔面または口腔内の痛みです。痛みの性質は「鈍い」「しつこい」「疼く」と表現されることが多いです。精神疾患や心理社会的問題の合併頻度が高いです。治療として一般的な鎮痛薬は効果がなく、三環系抗うつ薬や抗不安薬が効果を示すことが多いです。
三叉神経痛
片側の顔に数秒から数十秒の電撃痛が突然始まり終了する病気です。頬や唇の上、下など特定の部位に刺激があると痛み誘発されることがあり、その部位をtrigger zoneと呼びます。咀嚼や会話でも誘発されることがあります。「風が吹いても痛む」と表現されることもあります。多くの場合は、原因不明ですが、脳幹から三叉神経が出るあたりで動脈が神経を圧迫していることが多いです。このほかに脳腫瘍が隠れていることもあります。若い女性の場合は多発性硬化症という病気が隠れていることもあります。治療はまずは、薬物療法を行います。カルバマゼピンという抗てんかん薬が第一選択となりますが、皮疹、ふらつき、眠気といった副作用に注意が必要です。薬物療法で効果が得られない場合は、神経ブロック、手術(微小血管減圧術)を行うこともあります。
巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)
50歳以上の女性が、片側で拍動性の頭痛を呈した場合に疑います。典型的にはこめかみに走っている浅側頭動脈が炎症のために発赤、主張し、圧痛があることがあります。拍動性の痛みですが、血管自体に炎症が起こっているので、拍動は触れなくなっていることが特徴です。全身倦怠感、食欲不振、微熱、急激な体重減少などの症状ともなうことが多いです。炎症が眼動脈まで至ると網膜への血流が途絶え失明する恐れがあります。約半数にリウマチ性多発筋痛症という病気を合併します。ステロイドによる治療を早期に開始することが重要です。