もの忘れ(認知症)

認知症とは

もの忘れや注意不足によって日常生活が障害される状態です。
認知症は、アルツハイマー型認知病、前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症、血管性疾患、外傷性脳損傷、物質・医薬品の使用、HIV感染、プリオン病、パーキンソン病、ハンチントン病、その他の医学的疾患、複数の病院、特定不能に分類されており、疾患は多岐に渡ります。

もの忘れ(認知症)

治療できる認知症
– Treatable dementia –

認知症の中でも特に、正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫などの脳神経外科で扱う疾患、甲状腺機能低下翔やビタミン欠乏症などの内科的疾患の一部は治療可能な認知症 ”Treatable dementia”という概念で扱われており、早期診断や適切な治療が求められます。

正常圧水頭症

水頭症とは脳脊髄液が頭蓋内に過剰に貯留した状態のことです。歩行障害、尿失禁、そして認知症様症状が3徴候と言われています。原因不明である特発性水頭症と、くも膜下出血などの疾患に合併する二次性水頭症があります。問診、神経学的検査に加え、CTやMRIなどの画像検査、髄液排除試験(Tap test)などを用いて診断します。シャント術や第3脳室底開窓術などの外科的治療が必要になります。

慢性硬膜下血腫

頭蓋骨の内側にある膜(硬膜)と脳の間に血液がたまる疾患です。頭部打撲後、1ヶ月前後に頭痛、歩行障害、麻痺、認知機能低下で発症することが多いです。治療は局所麻酔で穿頭血腫除去術を行います。

脳腫瘍

脳腫瘍は頭蓋骨の中にできる腫瘍の総称であり、発生場所は大脳、小脳、脳幹、硬膜、くも膜、血管、下垂体、脳神経など多岐に渡ります。発生場所によって症状は様々であり、治療法も手術などの外科的治療、放射線治療、薬物療法などがあります。

甲状腺機能低下症

甲状腺から産生される甲状腺ホルモンが不足することによって、無気力、疲労感、むくみ、寒がり、体重増加、動作緩慢、記憶力低下などの症状が出現します。血液検査で診断することができます。甲状腺ホルモンを薬剤で補充する治療が必要になります。

ビタミンB12欠乏症

ビタミンB12は赤血球や神経細胞の細胞膜を合成するのに必要です。極端な食生活(完全な菜食主義など)や胃全摘術による吸収障害により、四肢の感覚障害、筋力低下、歩行困難、認知症などの症状が出現します。内服、点滴などでビタミンB12の補充療法を行います。

一過性てんかん性健忘

てんかん発作によって、もの忘れの症状をきたす疾患です。一時的なもの忘れを繰り返し起こす、発作の時は記憶以外の認知機能が保たれている、てんかんと診断される他の証拠がある(脳波の異常、てんかん発作による他の症状、抗てんかん薬で発作が消える)の3つが診断基準とされています。抗てんかん薬の投薬で治療します。

うつ病性仮性認知症

うつ病によって認知機能や判断力、注意力や集中力が低下する状態のことです。

薬剤による認知機能障害

薬剤性の認知機能障害をきたす患者さんの背景としては、高齢、慢性疾患の存在、脳の器質性疾患、認知症疾患の存在などが挙げられます。薬剤側の因子としては、薬剤処方数、薬剤投与量、脳血液関門の透過性、薬理作用が挙げられます。認知機能障害をきたしやすい薬剤として、睡眠薬、抗精神病薬、抗パーキンソン病薬、抗コリン性過活動性膀胱治療薬、ヒスタミン受容体拮抗薬、オピオイド、循環器系薬剤、ステロイド、抗がん剤などが報告されており、原因薬剤は多岐に渡ります。

Treatable dementia以外の、”認知症”

Treatable dementia以外の、いわゆる”認知症”は根本的な治療というものはなく、進行の予防と対処療法が治療方法が中心となります。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、脳の神経細胞が徐々に減っていく病気です。
主な症状は、記憶障害、判断力の低下、日常生活能力の低下などです。
進行すると、時間や場所が分からなくなる、簡単な計算ができない、暴言や暴力などの症状が現れることもあります。

原因はまだ完全には解明されていませんが、アミロイドβやタウ蛋白質といった異常なたんぱく質が脳に蓄積することが関係していると考えられています。
治療法は根治的なものはありませんが、進行を遅らせたり、症状を改善したりする薬などがあります。早期発見・早期治療が重要です。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、脳内にレビー小体と呼ばれる異常なたんぱく質が溜まることで起こる認知症です。
主な症状は、認知機能の変動、幻視、パーキンソン症状、睡眠中の異常行動などです。

認知機能は、時間や状況によって大きく変動します。幻視は、動物や人物などの人物像がよく見られます。
パーキンソン症状は、動作が遅くなったり、体が硬くなったりします。
睡眠中の異常行動は、夢を叫んだり、暴れたりします。

アルツハイマー型認知症と比べて、診断が難しいのが特徴です。
治療法は根治的なものはありませんが、症状を改善したり、進行を遅らせたりする薬などがあります。

前頭側頭葉型認知症

前頭側頭葉変性症は、脳の前頭側頭葉と呼ばれる部分の神経細胞が徐々に減っていく病気です。
主な症状は、人格変化、行動障害、言語障害などです。
人格変化は、無関心になったり、攻撃的になったりします。

行動障害は、常同行動や反社会的行動などが現れます。
言語障害には失語症などがあります。
進行すると、認知機能の低下、運動障害などの症状が現れることもあります。
アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症と比べて、比較的若年層に発症するのが特徴です。

原因はまだ完全には解明されていませんが、遺伝的な要因や環境的な要因などが関係していると考えられています。
治療法は根治的なものはありませんが、症状を改善したり、進行を遅らせたりする薬などがあります。

脳血管性認知症

血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって起こる認知症です。
主な症状は、認知機能の突然の低下、歩行障害、失語症などです。
認知機能の低下は、脳梗塞や脳出血が起こった後に突然現れます。

歩行障害は、脳梗塞や脳出血によって脳の運動機能が障害されるために起こります。
失語症は、脳梗塞や脳出血によって脳の言語機能が障害されるために起こります。
アルツハイマー型認知症と比べて、比較的進行が速いのが特徴です。

原因は、脳梗塞や脳出血の原因となる高血圧、糖尿病、脂質異常症などです。
治療法は、脳梗塞や脳出血の治療と同様、原因となる生活習慣病の治療や抗血小板薬などの薬物療法などがあります。
予防には、脳梗塞や脳出血の予防が重要です。高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病をしっかりとコントロールすることが大切です。

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