片頭痛の治療をしていると、

 

「頭痛は減ったけれど、まだ予定を入れるのが怖い」

「以前より良くなったけれど、仕事にはまだ影響している」

「注射はよく効いているけれど、できれば飲み薬がいい」

 

という相談を受けることがあります。

片頭痛治療では「1か月に頭痛が何日あるか」をよく確認します。

 

しかし2026年8月、日本人の片頭痛患者さんを対象とした新しい研究から、患者さんが治療に求めているものは、単純な「頭痛日数の減少」だけではないことが改めて示されました。

 

 

日本人324人に「どんな片頭痛治療を望むか」を調査

今回の研究では、日本人の片頭痛患者324人を対象に、CGRPを標的とした片頭痛予防治療について、

「どのような特徴を重視して治療を選ぶか」

が調べられました。

 

対象者の平均年齢は47歳、約8割が女性で、平均すると1か月に約8日の片頭痛がありました。

 

研究では、

「どのくらい頭痛が減るか」
「どのくらい早く効くか」
「日常生活への支障が改善するか」
「副作用がどのくらいあるか」
「注射部位反応があるか」
「飲み薬か注射か」

などを比較しました。

 

その結果、患者さんが最も重視していたのは、

 

「日常生活への支障が改善すること」

でした。

 

次に重要だったのが「薬の投与方法」、その次が「注射部位の副作用」でした。

 

つまり患者さんにとって、

「頭痛が何日減ったか」以上に、「普通の生活ができるようになったか」が大切

だったのです。

 

 

片頭痛は「頭が痛い」だけの病気ではありません

片頭痛の問題は、痛みだけではありません。

 

片頭痛が起こると、

「仕事を休む」
「家事ができない」
「子どもの世話がつらい」
「学校を早退する」
「旅行をキャンセルする」
「頭痛が怖くて予定を入れられない」

といった生活への影響が生じます。

 

また発作がない日でも、

「また頭痛になるのではないか」

という不安から行動を控えてしまう方もいます。

 

そのため、例えば片頭痛が月8日から月4日に減ったとしても、

残りの日も頭痛を心配しながら生活しているのであれば、まだ改善できる余地があるかもしれません。

 

 

CGRP関連薬にもいくつかの選択肢があります

現在、片頭痛の予防治療には、従来の内服薬に加えて、CGRPを標的とする新しい治療薬があります。

 

CGRP関連抗体は注射で投与する薬で、ゲパントと呼ばれる薬には内服できるものがあります。

 

どちらが優れているかを単純に決めることはできません。

 

例えば、

「毎日薬を飲むのは忘れそうなので、注射の方が楽」

という方もいれば、

「注射には抵抗があるので、できれば飲み薬がいい」

という方もいます。

 

今回の日本人を対象とした調査では、設定された条件では内服タイプのCGRP薬を好む傾向がみられました。

 

しかし、これはすべての患者さんが内服薬を選ぶという意味ではありません。

 

大切なのは、効果だけではなく、その人の生活に合った治療を選ぶことです。

 

 

「何を取り戻したいか」を診察で教えてください

片頭痛治療を始めるときに、ぜひ考えていただきたい質問があります。

 

「片頭痛が良くなったら、一番何をできるようになりたいですか?」

 

例えば、

「仕事を休まなくなりたい」

「子どもと休日に出かけたい」

「旅行の予定を頭痛でキャンセルしたくない」

「頭痛薬を飲む回数を減らしたい」

「朝から頭痛を心配せずに過ごしたい」

など、目標は人によって違います。

 

こうした目標は、頭痛日数と同じくらい大切な治療指標です。

 

 

頭痛がゼロでなくても、治療が成功していることがあります

逆に、頭痛が完全にゼロにならなくても、

「以前は月に3回仕事を休んでいたが、今は休まず働ける」

「発作は残っているが、薬を飲めば2時間で家事に戻れる」

のであれば、大きな治療効果と考えることができます。

 

片頭痛治療では、

 

頭痛日数
頭痛薬を使用する日数
HIT-6などによる生活への影響
仕事・家事・学校への影響
患者さん自身が取り戻したい生活

 

を総合して評価することが重要です。

 

 

片頭痛のために生活をあきらめない治療へ

片頭痛は、MRIなどで異常が見つからないことも多い病気です。

 

しかし「画像に異常がない=困っていない」という意味ではありません。

 

姫路駅前みどり脳神経外科クリニックでは、片頭痛の回数だけでなく、頭痛薬の使用状況や生活への影響も確認しながら、急性期治療・予防治療を検討しています。

 

突然の激しい頭痛、今までと違う頭痛、麻痺や言葉の出にくさなどを伴う場合には、必要に応じて頭部MRIなどで二次性頭痛の評価も行います。

 

片頭痛治療のゴールは、

「頭痛の日数を減らすこと」だけではありません。

 

仕事、家事、育児、学校、旅行など、片頭痛のためにあきらめていた生活を取り戻すことが、本当の治療目標です。

 

診察の際にはぜひ、

「私はこれができるようになりたい」

ということも教えてください。

 

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