「生理が始まると必ず頭痛がする」
「普段の片頭痛より、生理中の頭痛だけ薬が効きにくい」
「生理のたびに寝込んでしまう」
このような頭痛は、月経関連片頭痛の可能性があります。
片頭痛は女性に多く、特に月経前後に発作が集中する患者さんは少なくありません。
2026年9月、月経関連片頭痛に対して、片頭痛予防薬アトゲパントを月経前後の7日間だけ使用するPhase 3試験で良好な結果が発表され、注目されています。

月経関連片頭痛とは?
国際頭痛分類では、月経開始日を「1日目」として、
月経開始2日前~開始3日後
に片頭痛が起こり、それが3周期のうち少なくとも2周期で認められる場合、月経との関連を考えます。
月経時だけ片頭痛が起こる「純粋月経時片頭痛」と、普段も片頭痛があるものの月経時に特に起こりやすい「月経関連片頭痛」があります。
なぜ生理になると片頭痛が起こる?
大きく関係すると考えられているのが、女性ホルモンのエストロゲンの急激な低下です。
月経直前にはエストロゲン濃度が低下します。
この変化によって、片頭痛に関係する三叉神経血管系やCGRPなどの神経伝達系が影響を受け、発作が起こりやすくなると考えられています。
そのため、
「生理だから頭が痛い」
という単純な話ではなく、ホルモン変動をきっかけとして片頭痛の神経回路が活性化していると考える方が実態に近いでしょう。
月経時の片頭痛はつらくなりやすい
月経周辺に起こる片頭痛は、通常の発作と比べて、
長く続く
痛みが強い
再発しやすい
急性期治療薬が効きにくい
と感じる患者さんがいます。
「普段はトリプタン1回で治るのに、生理中だけ翌日また痛くなる」
というケースもあります。
そのため、発作が起こるたびに治療するだけではなく、発作が起こりやすい期間を予測して予防するという方法が検討されてきました。
「毎日予防」ではなく「7日間だけ予防」?
2026年9月10日に発表されたLUNA試験では、月経関連片頭痛のある成人女性468人を対象に、CGRP受容体拮抗薬であるアトゲパントが検討されました。
特徴的なのは薬の使い方です。
通常の片頭痛予防では毎日薬を服用します。
しかしLUNA試験では、
月経開始3日前から7日間だけアトゲパントを服用
し、それを3周期繰り返しました。
その結果、月経周辺の片頭痛日数は、プラセボより平均0.8日多く減少しました。
また、頭痛日数だけでなく、急性期薬の使用、日常生活への障害、認知機能なども改善したと報告されています。
0.8日の差は小さい?
「0.8日しか違わないの?」
と思われるかもしれません。
しかし月経周辺という短い期間だけを評価した数字です。
例えば毎月、
「月経が来ると2~3日寝込む」
という患者さんにとって、1日近く発作を減らせることには意味があります。
さらに、頭痛日数だけではなく急性期薬使用や生活機能も改善した点は重要です。
今すぐこの飲み方をしてよい?
ここは注意が必要です。
今回発表されたのは企業によるPhase 3試験の速報で、まだ査読済み論文として詳細なデータが発表されたわけではありません。
また、日本で承認されているアトゲパントの用法とは異なります。
そのため現時点で、
「生理前だけアクイプタを7日間飲めばよい」
と自己判断することはおすすめできません。
通院されている頭痛外来の医師と相談してくださいね。
大切なのは「月経との関係」を記録すること
現時点ですぐできる最も重要なことは、頭痛日記をつけることです。
頭痛が起きた日だけでなく、
「月経が始まった日」
も記録してみてください。
3か月程度記録すると、
毎回月経前後に片頭痛が集中している
というパターンが見えてくることがあります。
生理のたびに寝込む頭痛は、我慢する必要はありません
月経関連片頭痛は、
「女性だから仕方がない」
と我慢されていることが多い頭痛です。
しかし現在は、トリプタンなどによる急性期治療だけでなく、片頭痛予防薬、CGRP関連薬など治療選択肢が増えています。
姫路駅前みどり脳神経外科クリニックでは、片頭痛の頻度だけでなく、月経との関係、頭痛薬の使用状況、仕事・家事・育児への影響なども確認しながら治療を検討します。
突然の激しい頭痛や、今までと異なる頭痛、麻痺や言葉の出にくさなどを伴う場合には、必要に応じて頭部MRIなどで二次性頭痛を評価します。
「生理のたびに頭痛で予定が崩れる」
という場合も、片頭痛治療を見直す十分な理由です。


