「子どもが頭痛で学校を休んでしまう」

 

「市販の頭痛薬を飲んでも、なかなか良くならない」

 

「大人に使う新しい片頭痛の薬は、子どもにも使えるのでしょうか?」

 

片頭痛は大人だけの病気ではありません。子どもや中高生にも起こり、学校生活や勉強、部活動などに大きな影響を与えることがあります。

 

2026年10月19日、医学誌Headache and Pain Researchに、子どもの片頭痛に対する新しいCGRP関連薬の研究をまとめたレビューが発表されました。

 

今回は、小児片頭痛の特徴と、最新の治療研究について解説します。

 

子どもにも片頭痛はある?

片頭痛は、子どもや思春期の約1割にみられると報告されています。

 

大人の片頭痛は、片側がズキズキ痛むイメージがありますが、子どもでは少し特徴が異なります。

 

子どもの片頭痛では、両側のこめかみや額が痛むことも多く、大人より短時間で治まる場合があります。

 

また、頭痛と一緒に吐き気が出たり、光や音を嫌がったり、動くと痛みが強くなったりすることがあります。

 

「頭痛があるから学校に行きたくない」のではなく、片頭痛という神経の病気によって学校生活が難しくなっている可能性があります。

 

子どもの片頭痛はどう治療する?

小児片頭痛の治療では、まず頭痛の特徴や頻度、生活への影響を確認します。

 

睡眠時間が不規則になっていないか、食事を抜いていないか、水分摂取が不足していないかなど、生活習慣も大切です。

 

発作が起こったときには、年齢や体重に応じて使用できる鎮痛薬などを検討します。

 

また、年齢によってはトリプタン製剤が選択肢になる場合もあります。

 

ただし、大人の頭痛薬をそのまま子どもに使用してよいわけではありません。

 

薬の種類や使用量、使用回数については、医師や薬剤師に確認する必要があります。

 

CGRPとは?

近年、大人の片頭痛治療ではCGRP関連薬が広く使われるようになりました。

 

CGRPとは、片頭痛の痛みの伝達に関係する神経ペプチドの一つです。

 

片頭痛では、三叉神経などの神経系が活性化し、CGRPが痛みの伝達や神経の過敏な状態に関係すると考えられています。

 

CGRP関連薬は、このCGRPやその受容体の働きを抑えることで片頭痛を治療する薬です。

 

代表的なものには、注射薬のエムガルティ、アジョビ、アイモビーグ、内服薬のナルティーク、アクイプタなどがあります。

 

ただし、これらは日本で小児片頭痛への使用が一律に承認されているわけではありません。

 

海外では子どもへのCGRP注射が承認された

2025年8月、米国FDAはフレマネズマブ(アジョビ)について、6〜17歳で体重45kg以上の子どもの反復性片頭痛予防への使用を承認しました。

 

これは小児片頭痛治療における重要な進歩です。

 

承認の根拠となった臨床試験では、234人の小児が参加しました。

 

月間片頭痛日数は、アジョビを使用したグループで平均2.5日減少し、プラセボを使用したグループでは平均1.4日減少しました。

 

また、片頭痛日数が半分以上減少した患者さんは、アジョビ群47.2%、プラセボ群27.0%でした。

 

つまり、CGRPを標的とした予防治療が、一部の子どもの片頭痛にも有効であることが比較試験で示されたのです。

 

ただし、これは米国での承認です。日本では2026年10月時点では国内の承認はまだおりていません。

 

飲み薬のゲパントは子どもにも使える?

今回の新しいレビューで注目されているのが、ゲパントという飲み薬です。

 

ゲパントはCGRP受容体の働きを抑える薬で、大人では急性期治療や予防治療に使われています。

 

注射を必要としないため、将来的には子どもにとっても使いやすい選択肢になる可能性があります。

 

実際に海外では、子どもへのリメゲパントやアトゲパントの使用を調べた小規模な研究が報告されています。

 

しかし、これらの研究は主に診療記録を振り返ったもので、薬の効果を十分に証明できるものではありません。

 

現在、6〜17歳などを対象とした大規模な臨床試験が進められています。

 

現時点で小児へのゲパントの有効性と長期的な安全性が確立しているわけではありません。

 

子どもの頭痛でMRIは必要?

子どもの頭痛では、必ずしも全員にMRIが必要なわけではありません。

 

典型的な片頭痛で、神経学的診察に異常がなく、危険な症状がない場合には、症状や経過から診断できることもあります。

 

一方、突然始まった非常に強い頭痛、進行する頭痛、麻痺や意識障害を伴う頭痛、発熱や全身状態の悪化を伴う場合には、緊急の評価が必要です。

 

MRIは片頭痛そのものを証明する検査ではなく、必要に応じて脳や血管の病気など、別の原因を調べるために行います。

 

治療の目標は日常生活を取り戻すこと

小児片頭痛の治療で大切なのは、頭痛の回数を減らすことだけではありません。

 

「学校を休まずに通えるようになった」

 

「授業に集中できるようになった」

 

「部活動や友達との時間を楽しめるようになった」

 

こうした変化も大切な治療効果です。

 

姫路駅前みどり脳神経外科クリニックでは、頭痛の特徴や生活への影響を確認しながら、必要な検査や治療を検討しています。

 

子どもの片頭痛は、我慢させるだけの病気ではありません。

 

新しい薬の研究も進んでいますが、まずは正しく診断し、年齢に合った安全な治療を行うことが大切です。

 

頭痛によって学校生活や日常生活に支障が出ている場合には、医療機関へご相談ください。


参考文献

Na JH. Gepants for the Treatment of Migraine in Children and Adolescents: Acute and Preventive Roles, Current Evidence, and Ongoing Trials. Headache and Pain Research. 2026. DOI: 10.62087/hpr.2026.0034.

U.S. Food and Drug Administration. FDA Approves Drug for the Preventive Treatment of Episodic Migraine in Children Ages 6 Years and Older Who Weigh 45 kg or More. August 5, 2025.