「寝不足になると頭痛が起こる」
「逆に寝すぎた日にも片頭痛になる」
「朝から頭が痛くて、昼間も眠い」
片頭痛の患者さんから、このような相談を受けることは珍しくありません。
2026年9月、片頭痛と睡眠の関係を調べた新しい研究が発表されました。片頭痛患者253人を調べたところ、睡眠の質が悪いと判定された人は、反復性片頭痛では約18%だったのに対し、慢性片頭痛では約59%にのぼりました。Life Science Network
つまり、頭痛が頻繁な患者さんでは、半数以上に睡眠の問題が隠れていたことになります。
睡眠不足は片頭痛を起こす?
片頭痛は単なる「血管の頭痛」ではありません。
三叉神経、CGRP、視床、視床下部など、脳のさまざまな神経系が関係する病気です。
その中でも視床下部は、睡眠・覚醒リズムを調節する重要な場所です。
睡眠時間が短くなったり、睡眠リズムが大きく変化したりすると、脳の痛みに対する調節機能が変化し、片頭痛発作が起こりやすくなる可能性があります。
実際、
「徹夜をした翌日に頭痛が起きる」
という患者さんは少なくありません。
しかし注意したいのは、睡眠不足だけが原因とは限らないことです。
片頭痛があるから眠れなくなることも
睡眠と片頭痛の関係は一方向ではありません。
頭痛が頻繁になると、
「夜中に頭痛で目が覚める」
「翌日の頭痛が心配で眠れない」
「日中に横になるため夜眠れない」
ということも起こります。
今回の研究でも、睡眠の質が悪い患者さんほどMIDASで評価した片頭痛による生活障害が大きく、日中の眠気も強い傾向がありました。Life Science Network
つまり、
睡眠が悪い → 片頭痛が悪化する
片頭痛が悪い → 睡眠も悪くなる
という悪循環が起こっている可能性があります。
「たくさん寝ればいい」わけではありません
片頭痛では寝不足だけでなく、普段より長く寝た日に発作が起こる方もいます。
平日は5時間睡眠なのに、休日だけ10時間寝る。
毎日寝る時間・起きる時間が大きく違う。
こうした睡眠リズムの変化が片頭痛のきっかけになることがあります。
そのため片頭痛対策では、単純に「8時間寝ましょう」と考えるより、
自分に必要な睡眠時間を確保しながら、就寝・起床時間をできるだけ一定にする
ことが大切です。
朝の頭痛は睡眠時無呼吸症候群のことも
もう一つ見逃したくないのが、睡眠時無呼吸症候群(SAS)です。
睡眠中に呼吸が繰り返し止まることで睡眠の質が低下し、
朝起きたときの頭痛
強いいびき
日中の眠気
熟睡感がない
などがみられることがあります。
特に、いびきを指摘されている、睡眠中に呼吸が止まっていると言われた、昼間に強い眠気がある場合には、片頭痛だけでなく睡眠時無呼吸症候群が隠れていないか確認することも重要です。
頭痛が増えたら「睡眠」も一緒に見直す
片頭痛が月に何日あるか、頭痛薬を何日に使用しているかを記録することは大切です。
そこに、
何時間眠ったか
寝る時間・起きる時間
夜中に目が覚めたか
朝の頭痛があるか
も簡単に記録してみると、自分の片頭痛と睡眠の関係が見えてくることがあります。
一方で、頭痛が頻繁だからといって、すべてを睡眠のせいにするのも適切ではありません。
突然の激しい頭痛、これまでとは違う頭痛、麻痺や言葉の出にくさを伴う頭痛などでは、二次性頭痛の評価が必要です。
姫路駅前みどり脳神経外科クリニックでは、頭痛の頻度や頭痛薬の使用状況だけでなく、睡眠状態や日中の眠気なども確認しながら診療します。
必要に応じて頭部MRI・MRAで二次性頭痛を評価し、いびきや無呼吸が疑われる場合には睡眠時無呼吸症候群についても検査を検討します。
「最近、頭痛が増えた」と感じたら、薬だけでなく睡眠にも目を向けてみてください。
片頭痛治療では、頭痛の日数を減らすだけでなく、よく眠れて、日中を普通に過ごせる状態を取り戻すことも大切な治療目標です。


