以前より頭痛が増えてきた

頭痛薬を飲んでも、すぐまた痛くなる

気づけば週に何度も市販の頭痛薬を飲んでいる

 

このような場合、もともとの片頭痛などに加えて、頭痛薬を頻繁に使用することで、かえって頭痛が起こりやすくなる状態になっていることがあります。

 

これを薬剤の使用過多による頭痛(Medication-overuse headache:MOH)といいます。

 

以前は薬物乱用頭痛と呼ばれることもありましたが、乱用という言葉から依存症のような印象を受けやすいため、現在は薬剤の使用過多による頭痛という表現が一般的です。

 

日本頭痛学会の「頭痛の診療ガイドライン2021」でも、片頭痛や緊張型頭痛などがある人に急性期治療薬の使用過多が加わることで、頭痛が慢性化することが示されています。

 

 

何錠飲んだかより、何日飲んだかが重要

薬剤の使用過多による頭痛を考えるときに大切なのは、1回に飲んだ薬の量だけではありません。

 

特に重要なのが、1か月のうち何日、頭痛薬を使っているかです。

 

国際頭痛分類ICHD-3では、もともと頭痛疾患がある人で、頭痛が月15日以上あり、3か月を超えて急性期治療薬を頻繁に使用している場合にMOHを考えます。

 

目安となる服薬日数は薬によって異なります。

 

  • アセトアミノフェンやNSAIDsなどの単一成分の鎮痛薬:月15日以上

  • トリプタン:月10日以上

  • 複数成分を含む複合鎮痛薬:月10日以上

 

ただし、これはここまでなら安全という数字ではありません。

 

MOHを予防する観点から、一般の鎮痛薬やNSAIDsも月10日未満を一つの目安にすることが勧められます。

 

 

特に注意したい市販の頭痛薬

患者さんから、

病院でもらった薬ではなく、市販薬なので大丈夫だと思っていました

と言われることがあります。

 

しかし、市販薬でも薬剤の使用過多による頭痛は起こります。

 

特に注意したいのが、複数の成分が配合された頭痛薬です。

 

市販の鎮痛薬の中には、イブプロフェンやアセトアミノフェンなどの鎮痛成分だけでなく、無水カフェインが配合されているものがあります。

 

さらに製品によっては、アリルイソプロピルアセチル尿素やブロモバレリル尿素など、鎮静作用をもつ成分が含まれているものもあります。

 

すべての市販鎮痛薬にこれらの成分が含まれているわけではありませんが、国内で販売されている一般用医薬品にも、こうした複合鎮痛薬があります。

 

そのため、いつも飲んでいる頭痛薬の商品名だけでなく、箱の裏側に記載された成分・分量を確認することが大切です。

 

 

カフェインが入っていると何が問題?

カフェインには、鎮痛薬の作用を補助する効果があり、頭痛薬に含まれること自体が悪いわけではありません。

 

問題になるのは、カフェインを含む複合鎮痛薬を頻繁に使用することです。

 

国際頭痛分類でも、カフェインを含む複合鎮痛薬はMOHと関連する代表的な薬剤の一つとして扱われています。

 

さらに、コーヒー、エナジードリンク、お茶などからも大量のカフェインを日常的に摂取している場合、急にカフェインを減らすことでカフェイン離脱頭痛が起こることもあります。

 

ICHD-3では、1日200mgを超えるカフェインを2週間以上摂取している人が急に中断すると、24時間以内に頭痛が出現することがあるとされています。

 

つまり、市販の頭痛薬を頻繁に使用している方では、鎮痛薬だけでなく、含まれているカフェインやその他の成分まで確認することが重要なのです。

 

 

痛くなったら早く薬を飲むのは悪いこと?

ここは誤解されやすいポイントです。

 

片頭痛の急性期治療では、一般的に頭痛が始まったら適切なタイミングで早めに治療することが推奨されています。

 

したがって、薬剤の使用過多による頭痛が怖いからといって、限界まで薬を我慢する必要はありません。

 

問題なのは、1回の発作で薬を早めに飲むことではなく、頭痛そのものが頻繁に起こり、結果として薬を飲む日がどんどん増えている状態です。

 

月に何度も頭痛薬が必要になっているのであれば、痛み止めを我慢するのではなく、そもそもの頭痛を減らす予防治療を検討することが重要です。

 

 

こんな方は一度ご相談ください

  • 月に10日前後、頭痛薬を飲んでいる

  • 以前より薬を飲む日が増えている

  • 市販薬を常に持ち歩いていないと不安

  • 頭痛薬が以前ほど効かなくなった

  • 頭痛が週3~4日以上ある

  • 朝から頭痛があり、ほぼ毎日のように薬を飲んでいる

 

このような場合には、薬剤の使用過多だけでなく、片頭痛そのものが慢性化していないかを評価することが大切です。

 

診察では、頭痛の日数、薬を使用した日数、使用している薬の種類などを確認します。頭痛ダイアリーをつけると非常に役立ちます。

 

また、頭痛の性質が以前と変わった場合や、突然の激しい頭痛、手足の麻痺・しびれ、言葉が出にくい、発熱などを伴う場合には、MOH以外の原因を除外するため、必要に応じてMRIなどの検査を行います。突然の激しい頭痛や新たな麻痺・言語障害がある場合は、速やかな救急受診が必要です。

 

 

治療はただ薬をやめて我慢することではありません

MOHの治療では、使用しすぎている薬を減らしたり中止したりすることが基本となります。

 

しかし、それだけではありません。

 

もともとの片頭痛を適切に診断し、次のような治療を組み合わせることが重要です。

  • 急性期治療薬の見直し

  • 片頭痛予防薬の導入

  • 頭痛ダイアリーによる服薬日数の管理

 

2024年の国際頭痛学会の推奨でも、薬剤使用を減らすことと並行して片頭痛の予防治療を開始する方法が推奨されています。

 

なお、薬の種類によっては急な中止が適切でない場合もあるため、頻繁に使用している方は医師と相談しながら治療を見直すことが大切です。

 

頭痛薬を飲むこと自体が悪いわけではありません。

 

大切なのは、適切な薬を、適切なタイミングで、使いすぎないことです。

 

頭痛薬を飲む日が増えてきたと感じた時点が、治療を見直す一つのサインです。

 

市販薬を週に何度も使っている方や、頭痛が月に何日もある方は、頭痛薬をさらに増やす前に、一度医療機関へご相談ください。

 

姫路駅前みどり脳神経外科クリニックでは、片頭痛をはじめとする慢性的な頭痛の診断・治療を行っています。市販薬の使用が増えてきた方も、お気軽にご相談ください。

 

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