片頭痛(へんずつう)は、「痛くなったら我慢する病気」ではありません。現在では、発作を抑える治療(急性期治療)と、発作そのものを減らす治療(予防治療)を組み合わせることが、世界的にも標準的な治療戦略とされています。


本記事では、日本の頭痛診療ガイドラインなどを
もとに、片頭痛治療の基本をわかりやすく解説します。

 

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片頭痛治療は「2本立て」が基本

片頭痛治療は、次の2つを目的に行います。

  1. 急性期治療:発作が起きたときに、痛みや随伴症状(吐き気、光過敏など)を速やかに抑える

  2. 予防治療:発作の頻度・重症度・持続時間を減らし、日常生活への影響を小さくする

どちらか一方だけでは不十分なことも多く、患者さんの頭痛頻度や生活背景に応じて使い分け・併用することが重要です。

 

 

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急性期治療薬|「早めに・適切に」が鍵

1. NSAIDs・アセトアミノフェン

軽度〜中等度の片頭痛では、NSAIDs(ロキソプロフェン、イブプロフェンなど)やアセトアミノフェンが第一選択になります。
発作の初期に内服することで効果が高まることが、多くのランダム化比較試験で示されています。

ただし、使用頻度が増えすぎると薬物乱用頭痛(MOH)の原因になるため、月15日以上の使用には注意が必要です。

 

2. トリプタン製剤

中等度〜重度の片頭痛や、市販鎮痛薬で効果不十分な場合に用いられるのがトリプタン製剤です。
片頭痛の病態に深く関与する三叉神経血管系に作用し、痛みだけでなく吐き気や光・音過敏にも効果を示します。

ガイドラインでは、

  • 頭痛が完成する前、できるだけ早期に使用

  • 同一発作での過量使用を避ける

ことが強調されています。

 

3. 新規急性期治療薬

近年、CGRP受容体拮抗薬など、血管収縮作用をもたない新しい急性期治療薬も登場し、心血管リスクを有する患者さんへの選択肢が広がっています。

 

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予防薬|「頭痛を起こさせない」治療

予防治療の適応

以下のような場合、予防薬の導入が推奨されます。

  • 月4日以上の片頭痛発作がある

  • 発作が少なくても、生活・仕事への支障が大きい

  • 急性期治療薬が効きにくい、または使えない

 

1. 従来から使われてきた予防薬

エビデンスが確立している薬剤には、以下があります。

  • β遮断薬(プロプラノロール)

  • 抗てんかん薬(バルプロ酸)

  • 抗うつ薬(特に三環系:トリプタノール)

  • Ca拮抗薬(ミグシス®)

これらは多数の無作為化比較試験で、発作頻度を有意に減少させることが示されています。一方で、眠気や体重変動などの副作用には注意が必要です。

 

2. CGRP関連抗体薬

近年、片頭痛治療のパラダイムを変えたのがCGRP関連抗体薬(エムガルティ、アジョビ、アイモビーグ)です。
片頭痛の病態に直接関与するCGRPを標的とし、

  • 高い予防効果

  • 副作用が比較的少ない

  • 月1回などの投与で継続しやすい

といった特徴があります。国内外の大規模臨床試験で、プラセボに比べ明確な有効性が示されています。

最近は内服薬(ナルティーク)も出現しています。

 

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予防薬と急性期治療薬は「対立しない」

よくある誤解として、

「予防薬を使うと、急性期の薬はいらない」

というものがありますが、これは正しくありません。
予防薬は発作を減らす治療、急性期治療薬は起きた発作を抑える治療であり、役割が異なります。

 

実際の診療では、

  • 予防薬で発作回数を減らし

  • 起きた発作には適切な急性期治療を行う

という併用が、最もエビデンスに基づいた戦略です。

 


まとめ|片頭痛は「治療できる病気」

片頭痛は、我慢するものでも、体質だから仕方ないものでもありません。
ガイドラインと高いエビデンスに基づき、

  • 急性期治療薬を正しく使う

  • 必要に応じて予防薬を導入する

ことで、生活の質を大きく改善できる疾患です。

「薬に頼りすぎたくない」「本当に治療が必要かわからない」
そう感じたときこそ、一度専門的な視点で整理することが、結果的に最小限の治療につながることも少なくありません。

片頭痛でお困りの方は、ぜひ早めにご相談ください。