〜心と体を整えて、片頭痛と上手につき合う〜
片頭痛(へんずつう)は、薬だけでなく日常生活の工夫によっても軽くできることがわかっています。
今回は、医学的に効果が認められている「認知行動療法(CBT:Cognitive Behavioral Therapy)」をもとに、日常で実践できる方法をやさしくご紹介します。
1.まずは「自分の頭痛を知る」ことから始めよう
頭痛を減らす第一歩は、「観察」することです。
頭痛が起きた日、時間、天気、睡眠、食事、気分などをメモしてみましょう。
いわゆる「頭痛ダイアリー」です。
続けていくと、
「寝不足の翌日に起こりやすい」
「週末になると出やすい」
「生理の前後で強くなる」
など、自分のパターンが見えてきます。
「何が悪いのか」と悩むよりも、「どんな時に起きやすいか」を知る方がずっと実践的です。
2.体の緊張をゆるめる「リラックス法」を取り入れよう
ストレスや緊張によって、首や肩の筋肉がこわばると片頭痛が悪化しやすくなります。
そんなときに役立つのがリラクセーション法です。
🔹腹式呼吸
お腹に手を当てて、4秒かけて鼻から息を吸い、6秒かけて口から吐きます。
1日数分でも、呼吸を整えるだけで体がゆるみます。
🔹筋弛緩法
手をグッと握って3秒キープし、スッと力を抜きます。
「力が抜けていく感覚」を意識するのがコツです。
🔹イメージリラクゼーション
静かな場所で、海や森、温泉など“落ち着ける風景”を思い浮かべます。
こうしたリラックスの習慣をつけると、ストレスによる頭痛を予防しやすくなります。
3.「頭痛のことばかり考える悪循環」から抜け出す
片頭痛が続くと、「また起きたらどうしよう」「仕事に支障が出るかも」と不安になりますよね。
でも、頭痛のことを考えすぎると、それ自体がストレスになり、痛みを強く感じる悪循環に陥ってしまいます。
そんなときは、あえて頭痛と関係のない時間をつくることが大切です。
好きな音楽を聴く
コーヒーをゆっくり味わう
近所を5分だけ歩く
友人にLINEを送る
「痛みをなくそう」と頑張るより、「痛み以外のことに意識を向ける時間を増やす」ほうが、脳の緊張をほぐす効果があります。
4.行動を変えると、気分も変わる
片頭痛があると「無理をしたら悪化するかも」と思って外出や趣味を控えてしまうことがあります。
でも、行動を減らすと気分が沈み、さらに頭痛を意識しやすくなるという悪循環に。
まずは「小さな一歩」から試してみましょう。
普段より一駅分だけ歩く
いつもと違うカフェに行ってみる
家事を10分だけする
行動を少し変えるだけで、「思ったよりできた」「気分が軽くなった」と感じることがあります。
これも立派な“ストレス対策”です。
5.考え方のクセに気づく
片頭痛が続くと、「もう治らない」「自分はダメだ」といった**否定的な考え(破局的思考)**になりがちです。
これは痛みをより強く感じさせる要因になります。
そんなときは、少し立ち止まって考えてみましょう。
本当に「ずっと」治らないの?
以前に楽に過ごせた日はなかった?
他の人なら、どう考えるだろう?
「痛みがあっても、工夫しながら過ごせた日もあった」と思い出せるだけで、気持ちが軽くなります。
考え方を“白黒”ではなく“グレー”で見られるようになると、心も楽になります。
6.「今、この瞬間」を感じる練習を
頭痛の心配や、過去のつらい経験にとらわれると、心と体がさらに緊張します。
そんなときに役立つのがマインドフルネスです。
呼吸に意識を向けて、
「吸う」「吐く」に集中し、他の考えが浮かんでも「いま私はこう考えている」と気づいて流します。
たった1分でもOKです。
「今この瞬間」に意識を戻すことで、頭痛にとらわれない時間が増えていきます。
7.完璧を目指さないことも大切
認知行動療法の目的は「頭痛をゼロにする」ことではありません。
**「痛みと上手につき合いながら、自分らしく生活する」**ことです。
たとえ頭痛があっても、
「昨日より少し動けた」
「今日は笑顔で過ごせた」
そんな小さな変化を大切にしてください。
完璧を求めず、少しずつ「できることを増やす」ことが、長い目で見て回復につながります。
まとめ
片頭痛の認知行動療法は、薬に頼らず「考え方」と「行動」を整えることで、ストレスや痛みとのつき合い方を改善する方法です。
頭痛ダイアリーで自分を観察する
リラックス法を練習する
楽しい行動を少しずつ増やす
否定的な考え方をやわらかく見直す
今この瞬間に意識を向ける
毎日の生活の中で、少しずつ取り入れていくだけでも、頭痛の感じ方や気分は変わっていきます。
「自分にできることから始めてみる」――それが、片頭痛と上手につき合う第一歩です。
🩺 姫路駅前みどり脳神経外科クリニック
当院では、片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛などの頭痛の専門的な診療を行っています。
MRIによる精密検査や、CGRP関連製剤をはじめとした最新の治療にも対応しています。
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