「夜になると脚がむずむずして眠れない」「じっと座っていると落ち着かない」―そんな経験はありませんか?
これは むずむず脚症候群(Restless Legs Syndrome:RLS) と呼ばれる病気かもしれません。欧米では比較的よく知られていますが、日本では「ただの疲れ」や「年のせい」と見過ごされることも多い病気です。
むずむず脚症候群とは?
むずむず脚症候群は、その名のとおり 脚に不快な感覚が出て、じっとしていられなくなる病気 です。症状の特徴は次の4つです。
脚を動かしたいという強い衝動がある(多くの場合、不快な感覚を伴う)
安静にしているときに症状が出やすい(横になったり座っているとき)
歩いたり脚を動かすと症状が軽くなる
夕方から夜にかけて症状が強くなる
この4つに当てはまると「むずむず脚症候群」と診断されます。
症状の具体例
患者さんの訴えはさまざまで、
「脚の中を虫がはい回るよう」
「電気が走るよう」
「熱い」「だるい」「うずく」
などと表現されます。眠ろうとすると症状が強くなるため 寝つきが悪くなったり、夜中に何度も目が覚める こともあります。その結果、日中に眠気や集中力低下が起こり、生活や仕事に支障をきたすことも少なくありません。
なぜ起こるの?
原因はまだ完全にはわかっていませんが、研究から以下の関与が知られています。
脳内の鉄不足:鉄は神経伝達物質ドパミンの働きに欠かせません。鉄が不足すると症状が悪化しやすくなります。
ドパミン機能の異常:パーキンソン病とは異なりますが、同じくドパミンの働きの低下が関係しています。
遺伝的要因:家族に同じ症状がある方も少なくありません。
合併症:腎臓病、糖尿病、妊娠、リウマチ性疾患、パーキンソン病などの神経疾患が背景にある場合(二次性RLS)もあります。
どのくらい多いの?
欧米では成人の約5〜10%が経験するといわれ、日本では1〜4%程度と報告されています。特に女性に多く、妊娠中に起こる方も少なくありません。
治療と対策
治療の目的は 症状をやわらげ、睡眠や生活の質を改善すること です。
🛌 生活習慣の工夫
規則正しい睡眠習慣を整える
カフェインやアルコールを控える
適度な運動(ただしやり過ぎは逆効果のことも)
就寝前に脚を温めたりマッサージする
💊 薬による治療
症状が強い場合は薬を使います。代表的なのはドパミン作動薬(パーキンソン病の薬を少量使用)、抗てんかん薬、睡眠薬の一部などです。鉄不足がある場合は鉄剤が有効です。
受診の目安
夜になると脚がむずむずして眠れない
日中の眠気や集中力低下で生活に支障がある
妊娠中や慢性疾患があり、同じような症状がある
このようなときは、神経内科や睡眠障害を扱うクリニックに相談してください。適切な治療で症状は改善することが多く、生活の質が大きく向上します。
まとめ
むずむず脚症候群は「気のせい」や「ただの疲れ」ではなく、医学的に確立された病気です。特に夜間の睡眠を妨げるため、放置すると心身の健康に影響を及ぼします。
「夜になると脚が落ち着かない」「眠れない」―そんな症状で悩んでいる方は、早めの相談をおすすめします。
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