「ズキズキする頭の痛み」「光や音がつらい」――そんなつらい頭痛を経験したことがある人もいるかもしれません。
これは「片頭痛(へんずつう)」という病気の可能性があります。では、なぜ片頭痛は起こるのでしょうか?
脳が「刺激に弱く」なっている
片頭痛がある人の脳は、ちょっとした刺激にとても敏感になっています。
たとえば、
明るい光
大きな音
強いにおい
ストレスや疲れ
天気の変化
生理(女性の場合)
などがきっかけになって、脳が「もう限界だよ!」と反応して、片頭痛が起こるのです。
痛みはどこから来るの?
脳の中には「三叉神経(さんさしんけい)」という顔の感覚を感じ取る神経があります。この神経が刺激されると、「CGRP(シージーアールピー)」という物質が出ます。
このCGRPが、
頭の中の血管を広げたり
周りの神経に炎症を起こしたり
して、ズキズキする痛みが起きるのです。
「前ぶれ(前兆)」がある人も
片頭痛が始まる前に、「視界がチカチカする」「ギザギザの光が見える」といった前兆がある人もいます。これは、脳の表面で電気の流れが一時的に変わる現象(=皮質拡延性抑制)が起こるからです。
このあとに、三叉神経が刺激されて、頭痛が起こります。
体質や遺伝も関係ある
片頭痛は、家族に片頭痛の人がいると起こりやすくなることがわかっています。これは「片頭痛が起きやすい体質」が遺伝するからです。
また、女性に多いのも特徴で、特に思春期以降に増えてきます。
「血管の病気」ではなく「脳の病気」
昔は、「頭の中の血管が広がるせいで痛くなる」と言われていました。でも、今は、
脳が敏感になって、神経のしくみに異常が起きることで痛くなる病気
だと考えられています。
だから、頭痛だけでなく、「吐き気」「光や音がつらい」「イライラする」など、いろいろな症状が出るのです。
まとめ:片頭痛はがまんしなくていい
片頭痛は、「脳の敏感さ」が原因で起こる病気です。
でも、正しく知って、早めに治療すれば、痛みを減らしたり、発作を予防することができます。
最近では、「CGRP」という物質の働きをおさえる薬も登場して、がまんしない片頭痛治療ができるようになってきました。
もし、ズキズキする頭痛がくり返し起こるときは、専門の病院に相談してみましょう。