キアリ奇形について簡単に解説
キアリ奇形は、脳や小脳の一部が頭の出口(大後頭孔)から背骨の中(脊柱管)に落ち込んでしまう病気です。ここでは、キアリ奇形の種類、症状、診断、治療法について簡単にまとめます。
キアリ奇形の種類
キアリI型奇形
- 小脳の一部(小脳扁桃)が大後頭孔を超えて脊柱管内に5mm以上落ち込む。
- 成人に多いタイプ。
キアリII型奇形
- 小脳扁桃、小脳虫部、延髄、第四脳室が脊柱管に落ち込む。
- 主に新生児や乳幼児で、脊髄髄膜瘤を伴うことが多い。
キアリIII型奇形
- 小脳や延髄が脊椎の異常(頚椎の二分脊椎)により外に脱出する。
- 極めて重症でまれ。
キアリ0型(I型の特殊例)
- 小脳扁桃の落ち込みは明らかでないが、髄液の流れが障害され脊髄空洞症を起こす。
キアリI型奇形
主な症状
- 咳・くしゃみ・笑ったときに悪化する後頭部や首の痛み(6~7割)。
- 嚥下障害や睡眠時無呼吸(約2割)。
- 半数が脊髄空洞症を伴い、腕や手のしびれ、背骨のゆがみ(側弯)を伴うことも。
診断と治療
- 診断: MRI検査で脳や脊髄の状態を確認。
- 治療: 症状がなければ経過観察。症状がある場合は「大後頭孔減圧術」という手術を行い、骨や硬膜を削除して髄液の流れを改善する。
キアリII型奇形
主な症状
- 無呼吸発作、嚥下障害、筋力低下、手足の麻痺。
- 新生児期に重症化しやすく、生命に影響を及ぼすことも。
診断と治療
- 診断: MRIで小脳や延髄の落ち込み、水頭症の有無を確認。
- 治療: 水頭症がある場合はまずシャント術(水を抜く治療)を行い、必要に応じて上位頚椎の減圧術を実施。
手術の効果
手術後は、髄液の流れが改善され、脊髄空洞症が縮小することが期待されます。ただし、症状が長期間続いた場合は改善が難しいこともあります。
最後に
キアリ奇形は珍しい病気ですが、MRI検査による早期発見と適切な治療で症状の改善が可能です。気になる症状がある方は、姫路駅前みどり脳神経外科クリニックへご相談ください。