視機能障害をきたす脳の病気について

視機能障害とは、視力や視野、目の動きなど、視覚に関わる機能が障害される状態を指します。

視機能障害は眼の疾患だけでなく、脳の異常によっても引き起こされることがあります。

本記事では、視機能障害を引き起こす脳の病気について解説します。


1. 脳梗塞や脳出血

脳梗塞や脳出血は、脳の血流が途絶えることや血管が破れることで起こる病気です。視覚に関係する部位である後頭葉が影響を受けると、視野の一部が欠ける半盲や視力低下が起こります。

また、視覚情報の処理が困難になるため、ものを認識する能力が低下することもあります。


2. 脳腫瘍

脳腫瘍が視神経や視覚を司る脳の領域を圧迫すると、視力低下や視野の狭窄が起こります。

特に下垂体腺腫は、視神経交叉を圧迫することで、両目の外側の視野が失われる両耳側半盲を引き起こします。腫瘍の早期発見と治療が重要です。


3. 脳動脈瘤

脳動脈瘤が視神経の近くで発生すると、視神経を圧迫して視力低下や視野異常が起こることがあります。

また、動脈瘤が破裂するとくも膜下出血を引き起こし、命に関わる状態になるため、迅速な治療が必要です。


4. 頭部外傷

交通事故や転倒などによる頭部外傷も視機能障害を引き起こすことがあります。

視覚情報を処理する後頭葉や視神経が損傷を受けると、視力低下や視野障害、さらには物体が二重に見える複視が起こることがあります。


5. 多発性硬化症

多発性硬化症は、免疫の異常によって脳や脊髄、視神経に炎症が起こる疾患です。

視神経炎を合併することが多く、一時的な視力低下や目の痛みが主な症状です。治療によって多くの場合は回復しますが、繰り返すと視力低下が残ることがあります。


6. 片頭痛(閃輝暗点)

片頭痛の一種である閃輝暗点では、一時的な視覚障害が起こることがあります。

視界にギザギザの光が見える、視野が部分的に欠けるなどの症状が特徴です。

通常は一過性で後遺症はありませんが、脳血管に関連するため注意が必要です。


7. 認知症やアルツハイマー病

認知症の一部では、脳の視覚情報処理能力が低下することがあります。

目に異常がないにもかかわらず、ものを正確に認識できなくなることがあり、視覚失認と呼ばれます。

特に、後頭葉に影響を与える場合に多く見られます。


おわりに

視機能障害は、日常生活に大きな影響を及ぼすだけでなく、脳の疾患の重要なサインであることが少なくありません。視覚に関する異常を感じた場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。脳の検査を通じて原因を特定し、適切な治療を行うことで、視機能の回復や進行の予防が可能です。お困りの際は、ぜひ当院にご相談ください。